湿疹・かぶれ・手荒れ(手湿疹)

湿疹

湿疹ってなに?

湿疹とは?

よく湿疹って言いますが、湿疹って一体なんでしょうか?医学用語的には、湿疹と皮膚炎はほぼ同義語になります。皮膚は、体表を覆う人体最大の臓器ですが、巨大な免疫器官でもあります。湿疹は、何らかの原因のもとに皮膚の免疫機構によって引き起こされる症状のひとつです。(図1)外的因子と内的因子が重なって発症します。皮膚科診療の実に3分の1を占めます。

図1

湿疹ってなに?

湿疹(皮膚炎)の種類

湿疹とは?

湿疹には、その原因や成り立ちによってたくさんの種類があります。

  • 接触皮膚炎
  • アトピー性皮膚炎
  • 脂漏性皮膚炎
  • 貨幣状湿疹
  • Vidal苔癬
  • 自家感作性皮膚炎
  • うっ滞性皮膚炎
  • 皮脂欠乏性湿疹
  • 異汗性湿疹

など。

湿疹の治療

湿疹の治療は、今も昔も第1選択は、ステロイド外用剤になります。ステロイドは免疫を抑える働きがあります。先ほど書いたように、湿疹は皮膚の免疫機構によって発症するので、湿疹の治療にステロイドが用いられる訳です。

みなさんご存知のように、長期的なステロイドの使用は、さまざまな副作用をもたらします。そのため、ステロイドはただ漫然と使用するのではなく、湿疹の程度によって、適切なステロイドを選択して、適切な量を適切な期間、使用する必要があります。その辺りの選択は、皮膚科医の腕の見せ所になるかと思います。

また、先に述べたように、さまざまな湿疹の種類があり、それらは原因があって発症します。湿疹はただステロイド外用剤を塗るだけではなく、それらの原因を取り除くことも大事な治療になります。
例えば、皮脂欠乏性湿疹は、皮脂が足りないことにより乾燥が生じて起きる湿疹です。乾燥を改善させなければ、湿疹をステロイドで治しても、また湿疹が発症します。そのため、保湿することが大事になります。

かぶれ(接触皮膚炎)

かぶれ(接触皮膚炎)

何らかの物質によって起きる湿疹を言います。
刺激性とアレルギー性があります。

  • 頭皮:毛染め、シャンプー、リンス
  • 目の周り:目薬、化粧品など
  • 唇:口紅、リップ、管弦楽器

など、部位によって原因物質が変わってきたりします。

刺激性

草花、石鹸、洗剤、ガソリン、セメントなどの刺激によってかぶれが起こります。
原因物質と接触してから比較的早い時期に発症し、皮膚炎は接触部位とその周辺に限られます。初めて接触した物質でも起こります。

アレルギー性

ゴム、化粧品、時計やアクセサリーなどに使われる金属など、特定の物質に過敏に反応する人にだけ起こるアレルギー反応によってかぶれが生じます。
かゆみが強く、接触部位以外にも皮膚炎が広がります。初めて接触した物質では起こりません。

原因の特定には、原因と思われる物質を皮膚に貼りつけて反応を見るパッチテストが必要です。

かぶれの治療

 

原因物質の特定と除去が最も大事です。
対症療法的に、ステロイド外用薬などを使います。

手荒れ(手湿疹)

 

症状

「手荒れ・手湿疹(てしっしん)」とは、手指にブツブツ・赤みなどができる皮膚トラブルの総称です。
主婦湿疹と呼称されることもあります。皮膚の赤みやかゆみ、小さなブツブツが出てきます。
また、乾燥して亀裂やひび割れを生じるタイプと、ブツブツや水疱ができるなどして患部がジュクジュクするタイプがあります。

原因

手湿疹は職業病として頻度が高い病気であり、特に美容師、看護師、調理業の方に多くみられます。これらの職種は、手洗いや手が薬液や消毒液などに晒される機会が多く、このような外的刺激が発症の誘因であると考えられています。
近年は、COVID-19感染症の影響もあり、手洗い、アルコール消毒の機会がふえ、全年齢層で手湿疹の方が増えています。

治療

手湿疹を治すには、原因となる水仕事、外的刺激やアレルゲンをできる限り避け、刺激を与えないようにすることが重要です。
その上で、ハンドクリームや保湿剤で、皮膚のバリア機能を修復し、ステロイド外用薬などを用いて湿疹を治していきます。

手湿疹に似た疾患

 

  • 汗疱
  • 異汗性湿疹
  • 掌蹠膿疱症
  • 手白癬
  • 皮膚筋炎

など。

見た目で判断が難しい場合は、検鏡検査や皮膚生検といった検査をする場合があります。

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