帯状疱疹・単純疱疹

帯状疱疹について

帯状疱疹は、幼少期に罹患した水ぼうそうのウイルス(水痘・帯状疱疹ウイルス:ヘルペスウイルスの一種)が、再活性化することによって発症します。水ぼうそうに罹ったことがある人は誰でもかかり得ます。50歳以降に発症することが多いですが、稀に子供でもかかることがあります。僕の診た患者さんで一番若い子は7歳で発症しました。

水ぼうそうと帯状疱疹の関係

帯状疱疹

図提供:マルホ株式会社

一般的には、体の右か左のどちらかに、チクチク、ピリピリするような痛みで症状が始まり、1〜5日の間に赤いぶつぶつや水膨れが出てきます。
(この痛みが出てきてから発疹が出てくるまでの期間が曲者で、発疹がないと帯状疱疹かどうかの診断が極めて困難です。発疹がないため、筋肉痛や神経痛と思い整形外科などを受診し、湿布や鎮痛薬で治療を受けるのですが、その後出てきた帯状疱疹の発疹を湿布でかぶれたと皮膚科に来られることもあります。片側性の痛みや痺れの症状が出た際には、頭の片隅に帯状疱疹の可能性を考えておくようにして下さい。)

主な発症部位

主な発症部位

典型的には、背中から腹部にかけて神経に沿って片側性に帯状に水疱ができることから、帯状疱疹という名前が付けられたのですが、痛みや発疹の程度にはかなり個人差があり、全く痛みを感じない人から、痛くて夜も寝れない人までさまざまです。発疹も全く出ない人もいるので注意が必要です。

合併症

帯状疱疹ウイルスは、神経で増殖しますが、その際に神経を傷つけてしまうため、帯状疱疹後神経痛という厄介な後遺症が出ることがあります。
また、顔面に症状が出た場合、稀にヘルペス角膜炎、結膜炎、耳鳴り、難聴、顔面神経麻痺などを併発することがあります(ラムゼイ・ハント症候群)。

治療

治療は、①ウイルスに対する治療 ②痛みに対する治療 の大きく二つになります。

  1. 抗ヘルペスウイルス薬の内服治療が基本になりますが、重症の場合、中核病院に入院の上、点滴薬での治療を勧める事もあります。皮疹には、抗ヘルペスウイルス薬の外用もしくは二次感染予防のために抗菌薬の外用を行います。
  2. 急性期の痛みに関しては、アセトアミノフェン、非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDS)が有効ですが、慢性期疼痛(帯状疱疹後神経痛)には、主にリリカ、タリージェといった神経障害性疼痛の薬が用いられます。重症の場合には、ペインクリニックでの神経ブロックなどが必要な場合もあります。当院は、川西医療センターのペインクリニックと連携しています。

生活での注意事項

  1. できるだけ安静にしましょう。
  2. 患部は冷やさず、温めた方が痛みは緩和されます。
  3. 水脹れはできる限り破らないように注意しましょう。
  4. 水ぼうそうに罹ったことのない人にはうつすことがあるので、接触に注意しましょう。(罹ったことのある人にはうつりません)

単純疱疹

単純ヘルペスウイルス(Herpes Simplex Virus; HSV)の感染によって発症します。そのため単純ヘルペスとも言われます。皮膚のどこにでも出うりますが、口唇に出るものを口唇ヘルペス、陰部周囲に出るものを性器ヘルペスと呼んでいます。どちらも再発することが知られていますが、口唇ヘルペスはHSVの1型、性器ヘルペスはHSVの2型による感染・再発が多いです。

HSVは一度感染すると、生涯にわたって神経に潜伏します。現在、潜伏中のウイルスを死滅させる薬は開発されていないため、根治する術はありません。

平常時は、潜伏しているウイルスは免疫によって抑えられていますが、発熱、疲労、ストレス、強い紫外線、外傷などの刺激により一過性に免疫が低下した時などに、ウイルスが活性化して、口唇や陰部に症状が出てきます。

単純疱疹

1.口唇ヘルペス

唇やその周りに、ピリピリするような違和感や痛みを伴いながら、小さな水膨れができます。疲れた時など免疫が下がっている時によく出ます。数年に1回の人もいますし、毎月出るという人もいます。初めての場合は、症状が強く出ることが多いです。症状出現時にキスをするとうつりやすいです。

2.性器ヘルペス

陰部や臀部などに、小さな水疱ができ、痛みや痒みなどができる病気です。口唇ヘルペス同様、再発を繰り返します。女性は再発時にも痛みが強い傾向にあります。主に性行為によって感染します。相手への感染を避けるため、少なくとも症状が出ている時は、パートナーとの性行為は避けて下さい。妊娠中に感染したり再発しても赤ちゃんへ感染することはありませんが、分娩時に症状が出ている場合はうつる可能性があります。

治療

ウイルスの増殖を抑える“抗ヘルペスウイルス薬”の飲み薬、塗り薬が主な治療になります。早く治療を開始すればするほどウイルスの増殖が少なくて済みます。再発を繰り返している患者さんは、わかるかもしれませんが、口唇や陰部に症状がでる前日あたりに、予兆を感じることがあります。その段階から薬を服用するPIT(Patient Initiated Therapy)などもありますので、ご相談ください。

PIT(Patient Initiated Therapy)とは

あらかじめ処方してもらったお薬を初期症状(ピリピリ、ムズムズなどの違和感)に基づき患者さんの判断で服用開始する治療方法のことです。
PITは、再発を繰り返す口唇ヘルぺス・性器ヘルぺスの患者さんに対して、 医師が必要性を判断した場合に行われます。

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