いぼ(尋常性疣贅)

皆さんよく「いぼ」って言いますが、いぼって一体なんでしょう?「いぼ」っていうのはいわゆる俗語で、「いぼ」は“ウイルス感染によるいぼ”と“老化に伴ういぼ”の大きく2種類に分けられます。(表1)

(表1)いぼの種類

※表をクリックしたら拡大されます。

いぼの種類日本皮膚科学会ガイドラインより抜粋

ウイルス性いぼは、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染によって発生します。ウイルス性疣贅(ゆうぜい)と呼ばれます。老化に伴ういぼ(老人性疣贅)は、医学的には脂漏性角化症といい、ウイルス感染は関係ありません。

ウイルス性疣贅

1.尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい)

典型的ないぼのことで、子供ちゃん(時に大人も)の足の裏や手の指にできる黒い点々のあるブツブツしたできものです。 視診で多くは診断できますが、分かりにくい場合は、ダーモスコピーを使うとより正確に診断できます。治っているかどうかの判定にも有用です。

尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい)

尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい)

肉眼的には概ね消退していても、ダーモで見ると点状出血が確認できます。

治療

いぼは、最も一般的な疾患の一つにもかかわらず、いぼの治療は、HPV特異的な抗ウイルス薬がなく、優先して推奨される治療法もなく、保険適応のある治療法もあまりないのが現状です。

当院で行っている治療法
保険治療

① 冷凍凝固法:
-196℃と極めて低温の液体窒素を用いて、いぼを凍結しウイルス感染した細胞を壊死させる方法です。概ね2週間おきに凍結させます。最も一般的に行われている治療ですが、凍結時の疼痛が強いことや、なかなか治らず長期間の通院が必要なこともあります。

② ヨクイニンエキス内服:
ハトムギが原料の生薬で、免疫力を上げるとされています。特効薬ではありませんが、いくつか有効性を示す論文が出ています。

③ サリチル酸外用:
スピール膏を貼付し、3-5日おきに取り替えていく方法です。有効性を示す論文が出ています。

④ 電気凝固:
局所麻酔下にいぼを直接焼灼する方法です。僕自身は、難治な場合に最終手段的な感じで、行っています。

保険外治療

⑤ 活性型ビタミンD3(オキサロール)外用:
保険適応はありませんが、有効性を示す報告がたくさん出ています。保険治療の①②③と組み合わせて使うのが良いと考えています。

当院で行っていない治療法
保険外治療

① 炭酸ガスレーザー焼灼:
局所麻酔下にいぼを炭酸ガスレーザーで焼灼する方法です。当院では保険でできる電気焼灼を行っています。

② レチノイド外用:
にきび治療薬であるアダパレンを外用する方法です。

③ イミキモド外用:
いぼの類縁疾患であるコンジローマに保険適応のあるベセルナクリームを外用する方法です。いくつかの有効性を示す症例報告があります。

④ 5-FU軟膏外用:
抗がん剤の5-FU含有の軟膏です。有効性を示す論文と無効であったとする論文が出ています。

⑤ ブレオマイシン局注療法:
抗がん剤のブレオマイシンをいぼに局所注射する治療法です。有効性が高いという報告はありますが、当院では行っていません。

⑥ トリクロル酢酸外用:
強酸でいぼを腐食させる作用がありますが、危険なため当院では行っていません。

⑦ グルタールアルデヒド外用:
医療器具の消毒薬として使用されている薬剤ですが、やはり危険なため当院では行っていません。

⑧ DPCP, SADBE外用:
かぶれを起こさせる物質による免疫反応を利用した治療法ですが、全身が痒くなったり蕁麻疹が出たりするため、個人的に推奨していません。

2.尖圭コンジローマ

男女問わず、性器周辺や肛門周囲にいぼ状(乳頭状)の結節ができてくる病気で、ウイルス性性感染症です。尋常性疣贅と同様にHPV感染によりますが、コンジローマはHPV6, 11によります。(尋常性疣贅はHPV2a, 27, 57)

放置していてもあまり自然治癒は見込めず、徐々に増加・増大するため、気づいたら早めに皮膚科受診することをお勧めします。

治療は、概ね尋常性疣贅と変わりませんが、コンジローマはイミキモド(ベセルナクリーム)の外用が保険適応されています。

  • 液体窒素による冷凍凝固
  • ヨクイニン内服
  • ベセルナクリーム外用
  • 外科的切除(局所麻酔下)
  • 電気焼灼(局所麻酔下)
  • CO2レーザー焼灼(局所麻酔下)

老人性疣贅(老人性いぼ・脂漏性角化症)

早ければ20歳代から出始め、80歳以上の高齢者ではほぼ全員に認められます。老化に伴って出てくるもので、顔や頭に多く出ますが、体にも出てきます。色調は、常色のものから茶色、黒色まで様々です。良性の腫瘍に分類されますが、数ヶ月のうちに急激に多発してきて、痒みを伴う場合には、レーザートレラ徴候といい、内臓悪性腫瘍のサインと言われていますので注意が必要です。

診断はダーモスコピーが有用です。
良性腫瘍ですので放置しても大丈夫ですが、治療する場合は、以下の方法があります。

  • 液体窒素による冷凍凝固(保険適応)
  • 外科的切除(局所麻酔下:保険適応)
  • レーザーによる焼灼(局所麻酔下:自費診療)

首に多発する老人性いぼ首に多発する老人性いぼ

 

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