ほくろとは?
ほくろは、色素細胞(母斑細胞)というメラニン色素を産生する細胞の増殖によって生じます。
大小さまざまで、平坦なものから盛り上がったもの、黒いものから茶色のものまであります。生まれつきからあるもの(先天性)からあとで出現すること(後天性)もあります。ほくろは良性腫瘍ですが、稀に「メラノーマ」や「基底細胞癌」という悪性腫瘍が隠れていることがあります。
基本的に小児のほくろは放置していても大丈夫ですが、年齢とともに皮膚癌のリスクは上昇してくるので、気になるほくろがあれば、ご相談ください。
メラノーマ(悪性黒色腫)とは?
ほくろのガンと呼ばれています。
進行したものは生命予後が悪く、早期の発見、診断が重要です。
下のような特徴がある場合は、速やかにご相談ください。
メラノーマの特徴
A) 形が左右非対称である
B) 形がギザギザしていて、境界がわかりにくくなっている
C) 色が一様でなく、濃淡や染み出しがある
D) 6mm以上サイズが大きくなる
E) 形や色の急激な変化
など
ほくろ・メラノーマの診断・検査
ダーモスコピー検査
病変を拡大してみることにより診断します。
非侵襲的ですが、確実ではありません。
皮ふ生検
局所麻酔下で、病変の一部を切除し、顕微鏡を用いて細胞を観察して診断します。
より確実に診断できます。ダーモスコピーで悪性が疑われる場合には行う必要があります。
ほくろの鑑別疾患
そのほかにも、ほくろに似た皮膚のできものがいくつかあります。
脂漏性角化症
老人性いぼとも言われ、中年以降の多くの人に見られます。
原因は主に紫外線と加齢による皮膚ダメージの蓄積で、ツブツブした感じの黒褐色調のできものです。
ダーモスコピーによる診断が有用です。
基底細胞癌
最も多い皮膚がんで、日光の当たる顔にできることが多いです。
黒色のことが多く、時にほくろとして放置されています。診断には、ダーモスコピーが有用です。がんとしての悪性度は高くありません。ほとんどの場合、手術切除で根治が見込まれます。
ほくろの治療
切除法
局所麻酔下で切除します。
メリットは、保険適応であること、病理診断できること、再発が少ないことです。
デメリットは、焼灼術に比べて、傷痕が目立つことです。
良性・悪性が不安な場合は、切除術を選択します。
サージトロンによる焼灼
局所麻酔下で、高周波ラジオ波メス:サージトロンにより焼灼します。
メリットは、切除法に比べ、傷痕が目立たないことです。
デメリットは、自費診療であること、病理診断できないこと、取り残しや再発のリスクが高いことです。
ただし、取り残しや再発の可能性はあっても、一度で瘢痕を残す覚悟で深く焼灼するのではなく、複数回に分けて焼灼する方が、低侵襲で傷跡をきれいに治療できます。