乾燥肌(ドライスキン)について
乾燥肌とは、肌の水分・皮脂が不足して皮膚の潤いがなくなっている状態で、ドライスキンとも呼ばれます。医学用語で、皮脂欠乏症(乾皮症)と言います。最も症状が出やすいのはすねで、太もも、腰回り、わき腹などにも多いです。
乾燥肌をほうっておくとどうなるの?
カゼは万病のもととよく言われます。乾燥肌は、皮膚における万病のもとです。乾燥肌自体は、皮膚が乾燥した状態なだけですが、ほうっておくと痒みを生じて、皮脂欠乏性湿疹や貨幣状湿疹などの湿疹を発症します。またみずいぼやとびひなどの皮膚感染症を引き起こしやすくなります。
特に子供の乾燥肌をほうっておくと、アトピー性皮膚炎に移行する可能性があります。お父さんやお母さんにアトピー素因がある場合は、要注意です。逆に、アトピー素因のある子供に、生後から保湿をしっかりとすると、アトピーの発症を抑えることが報告されています。
皮膚のバリア機能
皮膚にはバリア機能と呼ばれる重要な機能があります。
皮膚バリア機能は、角層の内側の水分の蒸散を防ぎ、外界からの異物(アレルゲン・細菌など)の侵入を防御する役割を担っています。
皮膚バリア機能を保つのに、皮脂、天然保湿因子(NMF)、角質細胞間脂質(主にセラミド、コレステロール、脂肪酸)が重要です。
これらが減少していると、皮膚のバリア機能は低下し、肌が乾燥しやすくなります。
乾燥肌の原因
①子ども
子どもってだけで肌は乾燥しやすいです。子どもはまだ皮膚のバリア機能が十分に発達しておらず、乾燥しがちです。遺伝的要因も大きいです。先に述べたように、子どもの乾燥肌は放置するとアトピー性皮膚炎を発症する可能性があるので、素因がある子はしっかりと保湿して下さい。
②老化
皮膚は、年と共に薄くなり、皮脂や天然保湿因子、角質細胞間脂質が減ってくるため、どうしても肌は乾燥してきます。
③季節
秋から冬にかけては空気が乾燥し、肌も乾燥する傾向にあります。
④生活習慣
体の洗いすぎや冷暖房の効かせすぎなどでも肌は乾燥します。ナイロンタオルはダメで、42℃以上のお風呂もダメです。
⑤基礎疾患
アトピー性皮膚炎、魚鱗癬などの乾燥性皮膚疾患、糖尿病、透析、抗がん剤治療などで肌は乾燥します。
乾燥肌の治療
今現在、保湿作用のある薬は、ヘパリン類似物質だけです。ヘパリン類似物質の外用剤で痒くなったりして肌に合わない人は、市販の保湿作用のある保湿剤を購入して、保湿する必要があります。
保湿剤は、軟膏、クリーム、ローション(乳液)、フォームなどの種類があります。夏はさっぱりとして使用感の良いフォーム、ローション基材のもの、冬は皮膚を保護する効果が高いクリームや軟膏を選ぶのが良いです。
ワセリンは、皮膚に膜を張って水分の蒸発を防いだり、保護することはできますが、保湿作用は持っていないので、注意して下さい。子どもは、汗の管や毛穴が非常に細く、すぐにつまってしまうので、特に夏の暑い時期は、ワセリンなどの油性のものはあせもなどを悪化させる可能性があるので、注意して下さい。