男性型脱毛症(AGA)とは
日本では一般的に「男性型脱毛症」と呼ばれている「AGA(Androgenetic Alopecia)」。直訳すると「男性ホルモンによる脱毛症」で、その名の通り男性ホルモンが関与している脱毛症です。
AGAは進行性で、まず前頭部や頭頂部の髪の毛が産毛になり、額の生え際が後退したり、頭頂部の髪の毛が薄くなったりします。抜け毛がゆっくりと進行し、やがて地肌が見えるようになり、最終的には前頭部から頭頂部にかけて髪の毛がない状態になります。
日本人男性のAGA発症率は約30%(出典:日本皮膚科学会)と報告されており、発症年齢は20代以降が一般的ですが、早い場合は10代から、遅い場合は50代、60代で発症するケースもみられます。
正常なヘアサイクルと
AGAのメカニズム
AGAの発症には、男性ホルモンである「ジヒドロテストステロン(DHT)」が大きく関わっています。DHTは、男性ホルモンとしてよく知られる「テストステロン」が、毛根の深い箇所にある「5αリダクターゼ」という酵素によって変換された物質です。このDHTが、毛根の毛乳頭にある男性ホルモン受容体に結合すると、髪の毛の産生と成長を止めるように働きます。これがAGA発症の原因とされています。
正常な髪の毛は、以下のようなヘアサイクルで、「伸びる→抜ける→また生える」を繰り返しています。
ヘアサイクル | 髪の毛の状態 | 期間 | 髪の毛全体の割合 |
---|---|---|---|
①成長期 | 毛母細胞が分裂を繰り返し、新しい髪の毛が生えて、太く長く成長する。 | 約2~6年 | 約90% |
②退行期 | 毛母細胞の分裂が衰え、成長が止まり、休止期を迎える準備をする。 | 約2~3週間 | 約1% |
③休止期 | 新たな成長期が来る前に、古い髪の毛が抜け落ちる。 | 約3~4ヶ月 | 約10% |
男性型脱毛症(AGA)の原因
ホルモンバランスの乱れ
AGAは、「ジヒドロテストステロン」が、毛乳頭細胞の男性ホルモン受容体と結合することで、
薄毛や脱毛を引き起こすことから、男性ホルモンのバランスの乱れが主な原因となります。
遺伝
「ジヒドロテストステロン」の生成にかかわる要素は、遺伝すると考えられており、この男性ホルモンが原因であるAGAも、遺伝する可能性があります。
ストレス
過度のストレスは、代謝異常や血管収縮を引き起こす場合があり、髪の毛に十分な栄養が行き渡らず、成長が阻害されるなど、薄毛の原因になることが考えられます。
栄養や睡眠の不足
良質なたんぱく質、ミネラル、ビタミンなどの栄養素の不足、あるいは睡眠の不足は、髪の毛の成長を阻害したり、髪の毛のサイクルを短くしたりするので、薄毛の原因の1つと言えます。
男性型脱毛症(AGA)は
自力で治せる?
AGA発症後は、基本的に進行の一途をたどり、自然に治るケースはほぼありません。適切な治療を行わなければ、抜け毛や薄毛はゆっくり着実に進行します。一方で、専門の治療を受けた場合は、症状の進行を抑え、髪の毛のボリュームを増やすことが可能になります。
AGA治療にデメリットはある?
治療の副作用が起こる場合がある
低い確率(1~5%程度)ではありますが、他の薬や治療と同様に副作用のリスクがあります。主に、以下のような副作用が報告されています。
治療の種類 | 可能性のある副作用 |
---|---|
内服薬 | ・性欲減退・勃起不全・精液減少・うつ・抑うつ・肝機能障害 |
外用薬 | ・頭皮のかゆみ・かぶれ・赤み・フケ・頭痛・めまい・むくみ・皮膚のつっぱり感 |
レーザー治療 | ・頭皮の乾燥、かゆみ、痛み |
また、副作用は体質や年齢に影響されることが多く、以下のような方は副作用が起こりやすいとされています。
- アレルギー体質の人
- 肝臓や腎臓に疾患がある人
- 薬を分解および排出する力が弱い人
など
万が一、身体に合わない場合は、医師の診断により、治療薬の量の調整や種類の変更、治療法自体の見直しといった対処方法があります。
治療の継続が必要
AGAは進行性の脱毛症ですので、一定期間は継続して治療を受ける必要があります。そのためコンスタントに治療費(自費診療)がかかります。
効果を感じない場合や
初期脱毛の発生
AGA治療の効果が現れ始めるのは、治療開始から3~6 ヶ月後です。
治療開始直後は、「効果がないのでは?」と感じたり、10日ほど経過した頃に初期脱毛が起こったりする場合があります。初期脱毛は、治療の効果が現れる3~6ヶ月までの間にだけ起こります。効果が出てきているサインでもありますので、安心して治療を継続していきましょう。
男性型脱毛症(AGA)で
使用する薬
「プロペシア」(先発医薬品)
「フィナステリド」(後発医薬品)
主成分である「フィナステリド」が、「II型5αリダクターゼ」の働きを阻害し、AGAの原因である「DHT」の産生を抑制します。服用することでAGAの根本原因が抑制できるので、抜け毛の進行をくい止め、薄毛の改善を促すことができる治療薬です。
「ザガーロ」(先発医薬品)
「デュタステリド」(後発医薬品)
「DHT」産生の原因となる「5αリダクターゼ」の働きを阻害することは同じですが、「Ⅱ型」だけでなく「Ⅰ型」も阻害してくれる第2のAGA治療薬です。従来は「II型5αリダクターゼ」が主な原因とされていましたが、「プロペシア」では効果が見られなかった患者さんが「Ⅰ型」も阻害する「ザガーロ」で発毛効果を得られたという例があり、注目を集めています。
男性型脱毛症(AGA)の料金
メニュー | 料金(税込) |
---|---|
プロペシア(先発品) | 診察料+9,000円 |
フィナステリド(後発品) | 診察料+5,500円 |
ザガーロ(先発品) | 診察料+9,900円 |
デュタステリド(後発品) | 診察料+5,500円 |
女性のAGA?女性型脱毛症(FAGA)とは
女性の薄毛全般をまとめて女性型脱毛症(FAGA)と呼びます。
以前はAGAと同じものであると考えられていましたが、AGAとは薄毛のタイプが異なることが分かってきたことで、区別して診断・治療がなされます。また20代から発症することの多いAGAとは異なり、FAGAは40~50代の女性に目立ちます。
女性型脱毛症(FAGA)の
症状と進行パターン
症状
女性型脱毛症は、AGAとは異なり、頭部の髪の毛が全体的に薄くなっていきます。
その中で、薄毛の進行の仕方によって、以下のようにいくつかのパターンに分けられます。
進行パターン
ルードウィッグ型
女性型脱毛症としてもっとも頻度が高いのが「ルードウィッグ型」です。
頭頂部~後頭部上部にかけて、薄毛が目立ちます。また進行すると、前頭部が後退します。
ルードウィッグ型は、その進行度に応じて、以下のⅠ~Ⅲ型に分けられます。
Ⅰ型
頭頂部が全体的に薄くなっていますが、まだ目立ちません。
ご自身では気づけないことが多くなります。
Ⅱ型
薄毛が進行し、範囲も広くなります。
鏡で確認した場合など、ご自身で気づくことができます。
Ⅲ型
頭頂部~後頭部上部の薄毛に加え、前頭部の生え際が後退してくる段階です。
クリスマスツリー型
生え際から頭頂部にかけて薄くなるのが「クリスマスツリー型」です。
透けて見える頭皮の形がクリスマスツリーのようであることが名称の由来となっています。
生え際から進行していくことが多いため、初期から薄毛が目立ちます。
ハミルトン型
生え際の左右が、“剃りこみ”が入ったように薄くなっていくのが「ハミルトン型」です。
男性型脱毛症(AGA)のM字型と似たタイプの薄毛です。
女性型脱毛症(FAGA)の原因
女性型脱毛症(FAGA)はヘアサイクルの乱れによって引き起こされます。
髪の毛は通常、2~6年をかけて成長し、数カ月の休止期を経て抜けていきます。その後同じ毛穴から、また同じようにして髪の毛が生えてきます。
ヘアサイクルの乱れとは、本来であれば2~6年をかける成長期が短く、早くに髪の毛が抜けてしまうことを指し、こういった現象が多くの毛穴で起こることで、だんだんと薄毛になっていくのです。
そしてこの「ヘアサイクルの乱れ」を引き起こすのが、以下のような原因です。
加齢によるホルモンバランスの変化
正常なヘアサイクルを維持するために重要な役割を果たしているのが、エストロゲンという女性ホルモンです。女性のエストロゲンの量は20代の後半をピークとし、その後減少していきます。特に閉経を含む更年期は、エストロゲンの量が急激に減少することから、ヘアサイクルが乱れやすくなります。
遺伝
ジヒドロテストステロンを受け入れるレセプター(受容体)の有無によって、薄毛になりやすいか、そうでないかに影響するとの指摘があります。レセプターの有無は、遺伝的要因に左右されやすいため、FAGAも親から子へと受け継がれる可能性があります。
生活習慣の乱れ
髪の毛を作る際に必要になるタンパク質・ビタミン・ミネラルの不足、無理なダイエットによる栄養不足・貧血、睡眠不足やストレスによる自律神経の乱れ、運動不足による血流低下は、いずれもヘアサイクルを乱し、薄毛のリスクを高めてしまいます。
全身疾患の影響
甲状腺機能低下症(橋本病)、膠原病、鉄欠乏性貧血などによって、抜け毛の増加、薄毛が引き起こされることがあります。治療中の病気がございましたら、医師にお伝えください。
薬剤
薬の副作用、経口避妊薬の中止などによって、抜け毛が増え、薄毛が進行することがあります。
受診の際には、お薬手帳をお持ちください。
女性型脱毛症(FAGA)は治る?
使用する治療薬
女性型脱毛症(FAGA)は、医療機関の治療により改善させることが可能です。
薄毛が気になる方は、お気軽に当院にご相談ください。
ルグゼバイブ
主成分は、豊富な栄養素を含む馬プラセンタです。女性の育毛促進、肌質改善、免疫力向上、血行促進などの効果が期待できます。また、育毛促進効果のあるサッカロミセスブラウディも配合されています。さまざまな栄養素が、髪と頭皮に健康をもたらし、抜け毛や白髪を減らします。
それ以外にも、パントテン酸カルシウムやケラチン、コロストラム、L-シスチンといった頭皮・全身の健康に寄与する有効成分も含まれています。
使用方法
朝食、昼食、夕食の際に1カプセルずつ、毎日3カプセルを内服してください。
ルグゼバイブの副作用・リスク
特に大きな副作用はありませんが、ごく稀に胃もたれが生じることがあります。
また、もともと月経過多、子宮内膜症、卵巣嚢腫がある方は、ルグゼバイブの内服によって出血量が増加することがあります。月経過多・子宮内膜症・卵巣嚢腫のある方は、事前にかかりつけの婦人科の先生にご確認ください。
ルグゼバイブを服用できない人
- 妊娠中の方
- 含有成分にアレルギーのある方
- 12歳以下のお子様(※安全性を証明したデータがございませんので、処方することができません。予めご了承ください。)
コラージュフルフル育毛シリーズ
持田製薬グループ会社「コラージュ」の育毛ケアシリーズを取り扱っています。
エチニルエストラジオールという女性ホルモン、センブリエキス、酢酸トコフェロール、サリチル酸などの作用により、健康な髪を育てます。
いずれも洗髪後、タオルで髪の毛の水分を拭き取ってから使用します。
コラージュフルフル育毛スプレー
髪の毛を持ち上げて、頭皮に直接スプレーします。
忙しい朝などにもできる、手軽な薄毛ケアです。
コラージュフルフル育毛フォーム
フォーム(泡)タイプなので、液だれしにくく、気になる部位にピンポイントに使用できます。
分け目や生え際など、部分的な薄毛ケアにおすすめです。
コラージュフルフル育毛ローション
よく伸びるローションタイプです。塗布後にマッサージをすることで、しっかりと成分を浸透させます。
就寝前など、時間がある時に使用するのがおすすめです。
発光ダイオード(LED)
医療用に開発された発光ダイオード(LED)を使った薄毛治療です。
髪の毛は、毛母細胞が活動する限り発毛・脱毛を繰り返します。そして毛母細胞の活動性を維持するためには、毛乳頭細胞を介してしっかりと栄養を届けることが大切になります。
発光ダイオードの照射により、毛乳頭細胞などの細胞が活性化することで、抜け毛の減少、髪の毛の成長促進(ハリ・コシが出る)といった効果が期待できます。週1回程度の照射をお勧めしています。
男性のAGA治療薬は女性への投与が禁忌とされています
AGA治療において使用される「フィナステリド」や「デュタステリド」は、女性に使用することができません。最大の理由となるのが、催奇形性の存在です。妊婦さんが服用した際に、胎児に奇形を生じさせる可能性があるのです。
また、胎児(男児)の生殖器の発達への影響も指摘されています。
なお、フィナステリド、デュタステリドは皮膚からも吸収されます。処方を受けていない人がそのような場面に遭遇することは考えにくいのですが、お薬に触れるということも避けるようにしてください。
女性型脱毛症(FAGA)の料金
メニュー | 料金(税込) |
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ルグゼバイブ | 8,800円(30日分) |
LED | 2,200円(1回) |