円形脱毛症とは?
円形脱毛症と聞いて、頭に思い浮かべるのは、いわゆる「10円ハゲ」という方が多いと思います。中には、「え、病気なの?」と思う方もいると思います。医学的には、円形脱毛症は、立派な病気になります。
毛を作る毛包周囲に炎症が起き、一部のリンパ球が毛包の組織を壊そうとする自己免疫反応が起きておりその影響で毛が抜けてしまう病気です。
脱毛症状は頭部に1個、円状にでることもあれば、頭部に多発したり、眉毛や睫毛、髭のみ、体毛のみに生じるなど、身体のどの部分にも起きる可能性があります。また一度治っても、また再発することも多い病気です。
円形脱毛症の原因
よく言われるのがストレスですが、多くの場合はストレスと関係なく発症していることから、精神的なストレスは原因というよりも、むしろ「きっかけ」、つまり誘因のひとつとなりうるものであろうと考えられています。
現時点では、円形脱毛症は、自己免疫疾患の一つと考えられています。が、なぜ自己免疫反応を起こすようになるのかはまだ分かっていません。10-30%に家族内発生があるため、遺伝的素因も考えられています。アトピー素因、甲状腺疾患や膠原病との関連もいわれています。
円形脱毛症の分類
- 単発型:脱毛斑が単発のもの
- 多発型:複数の脱毛斑を認めるもの
- 全頭型:脱毛巣が全頭部に拡大したもの
- 全身型:脱毛が全身に拡大するもの
(蛇行型:頭髪の生え際が帯状に脱毛するもの)
1、2は自然治癒も見込める軽症になりますが、3、4は難治なことが多く重症です。2から3へ移行する事もあり、注意が必要です。
円形脱毛症の鑑別疾患
脱毛をきたす疾患は、円形脱毛症だけではありません。
男性型脱毛、女性型脱毛、壮年性脱毛、細菌・真菌(カビ)による脱毛、甲状腺疾患による脱毛、慢性膿皮症などによる瘢痕性脱毛、SLEなど膠原病に伴う脱毛、円盤状エリテマトーデス(DLE)の脱毛、抗がん剤をはじめとする薬剤性脱毛、放射線治療による脱毛、抜毛症など様々な脱毛症があります。
そのため、必要に応じて、ダーモスコピー、検鏡、生検、血液検査などを行うことがあります。
円形脱毛症の治療
病気が始まってからの期間と脱毛面積など重症度に応じて決定します。
軽症例では、ステロイドや塩化カルプロニウム(フロジン)の外用療法、抗アレルギー剤・セファランチンの内服、紫外線療法(当院ではエキシマ)、ステロイドの局注療法を行います。発症の急性期や中等症例ではステロイドの内服をする事もあります。重症例(発症半年以内)では、ステロイドパルス療法(3日間でステロイドを大量に点滴する方法)や2022年に新たに保険適応となったJAK阻害薬(オルミエント)の内服療法が有効です。ステロイドパルス療法は短期入院が必要なため、連携施設へ紹介いたします。
治療期間ですが、一度抜けた毛は新しく生えるまでに数ヶ月かかります。そのため治癒するまで、軽症例でも少なくとも半年くらいはかかると考えておいて下さい。